ハンドメイド作家の確定申告

ハンドメイドで暮らす

ハンドメイド作家さんの活動の始め方は、十人十色。
ゆっくり、少しずつ趣味の範囲から活動を広げていく方もいれば、
たくさんのことにどんどん取り組んでエネルギッシュに活動する方もいらっしゃいますよね。

無理をしすぎず、自分のペースで進めていくのが一番ですね。

ただ、作品を販売していくとなると気になるのが税のこと。
利益がたくさん出たら、納税の義務も当然出てきます。

収入を得るからには、税金のこともちゃんと知っておかないと…
でも簿記とか税金のこととか全然わからないけど大丈夫かな?

今回は、確定申告所得控除など、ハンドメイド作家さん向けの税金対策について書いていこうと思います。(※2021年5月現在の情報です)

私もそうでしたが、最初は簿記や申告のことなんて全然わからなくても大丈夫。
ほとんどの作家さんが毎年無事に申告を終えています。
特に現在は簡単な操作で帳簿が作成できる会計ソフトもたくさんあるので心強いですよ。

ちなみに、この記事の内容はライターさんやデザイナーさんなど、ハンドメイド作家さん以外の個人事業主の方にも当てはまるかと思います。

 

確定申告とは

たとえばハンドメイドであれば、売り上げを得るために材料や包装資材などを仕入れると思います。他にも事務用品を買ったり、電気代を払ったりと色々とお金がかかりますね。
確定申告とは、ごく簡単に言うと収入(売り上げ)から必要経費を差し引いた所得を申告して税金を納めるための手続きのことを言います。
確定申告が必要なのは、個人事業主や会社経営者、不動産所得のある人などです。会社員の人は会社が源泉徴収を行なって代わりに所得税を納めているので基本的には不要です(副業で20万円を超える所得がある人や医療費控除を受けている人などは確定申告が必要です)。

ちなみに、基礎控除48万円なので、事業における所得が48万円以下であれば確定申告をしなくても大丈夫です。

基礎控除とは、確定申告や年末調整において所得税額の計算をする場合に、総所得金額などから差し引くことができる控除の一つです。2020年に38万円から48万円に変更されました。

…が、事業が赤字になってしまった場合には、還付があったり住民税(前年の所得によって決定される)が減額されたりすることもあるので、申告しておいた方が良いです。

赤字だったらさすがに申告はいらないと思ってたけど、申告しておく方がお得になることもあるのね。

ちなみに個人的には、売上や所得が少なく余裕があるうちに帳簿のつけ方(会計ソフトの入力)に慣れておいた方が良いと思うので、できればほとんど売り上げがなくても最初の年からちゃんと帳簿をつけておいた方がいいと思います!

もしも税務署の調査が入った場合は、過去の分も遡って(7年分)確認されるので書類はとっておく必要があります。もちろん帳簿もつけてあると安心ですね。

この後書きますが、できればハンドメイドを始めたらすぐに開業届と青色申告の申請を提出しておくと、後々にメリットが出ることが多いですよ。

 

白色申告と青色申告

確定申告には白色申告青色申告の2種類があります。
オススメは断然青色申告です。青色申告にはたくさんのメリットがあるので、できれば1年目から青色申告でいけるといいと思います。

白色申告のメリット・デメリット

白色申告のメリットには申請がいらないというのがあります。なので、特に税務署に何も申請をしていない場合は白色申告となります。ただ、開業届を出す時に「青色申告にされますか?」と聞かれることが多く、そこで一緒に手続きしちゃうってことが多いと思いますので青色申告の申請自体はあまり手間ではないと思います。

ちなみに2014年1月の法改正より前は事業所得が300万円以下の場合は帳簿をつける義務がないというのが大きなメリットだったのですが、法改正後の現在は白色申告でも帳簿の記帳と書類の保存義務があるため、「白色申告の方が楽!」というメリットはほとんどなくなってしまいました💦
ただ、白色申告は単式簿記という青色申告の複式簿記よりちょっとシンプルな方法での記帳でOKです。

白色申告のデメリットとしては、青色申告にあるような特別控除がないということです。
つまり、課税の対象になる所得の金額が大きくなってしまうため、支払わなければならない税金の額も大きくなるということです。

また、白色申告では前年までの赤字を繰り越すことができません。前年は100万円の赤字だったけど今年は100万円黒字になった!という場合でも、前年の赤字分は考慮されず今年の所得100万円から税金の額が算定されます。

青色申告のメリット・デメリット

青色申告のメリットは最大65万円の特別控除があることです。つまり税の計算の際、65万円を所得から差し引くことができるのです。

ハンドメイドの売上規模だと65万円は大きいね!

また、赤字を3年間繰り越すことができます。
黒字になった年があっても、過去3年間の赤字を繰り越して計算できるので税金が安くなることがあります。
たとえば100万円の黒字が出ても、前年に100万円赤字だった場合は所得は0円とすることができます。

前の年の赤字が繰り越せると、黒字の年に納める税金が少なくなるということね。

さらに、30万円未満の減価償却資産は一括で経費にできます。通常、パソコンやエアコンなど、10万円を超える資産を購入した場合は、一括で経費に計上することができず(売り上げから経費として差し引けない)、耐用年数に応じて減価償却という処理をして数年に分けて経費に計上していく必要があります。
しかし青色申告の場合は30万円未満のものは一括で経費に計上できます。

何年かに分けて経費に計上するより、購入した年に一度に経費にできた方が節税になりそうね!

他にも、自宅の一部をオフィスや店舗・工房などにすると電気代や家賃の一部を経費にすることができたり(家事按分)、事業を手伝ってくれる家族への給与を全額経費にできたり(青色事業専従者給与)します。

青色申告のデメリットとしては、申請が必要であるということがあります。
青色申告の申請自体は申請書一枚で簡単に終わるのですが、期限があり、青色申告したい年の3月15日まで(1月16日以降に事業を開始した場合は事業開始から2ヶ月以内)に申請を行う必要があります。

開業届は届出が遅れても受理してもらえますが、青色申告の申請は遅れると翌年からの適用になります。

ということで、期限内に提出できなかった場合は最初の年は白色申告、2年目から青色申告となります。
ちなみに私は開業届の提出が半年以上遅れてしまったので(スミマセン💦)、最初の年は白色申告となりました。…が、所得(利益)が全然出ていなかったので申告の必要がありませんでした😅

また、青色申告で特別控除を受けるには、複式簿記という少しややこしいスタイルでの帳簿のつけ方をする必要があります。
ただ、後でご紹介しますが、近頃の会計ソフトはとっても優秀なので複式簿記の記帳もさほど難しくはありません。

白色申告と青色申告のメリット・デメリットまとめ

白色申告

  • 申請が不要
  • 単式簿記でOK
  • 特別控除がない
  • 赤字を繰り越せない

青色申告

  • 特別控除(最大65万円)がある
  • 30万円未満の減価償却資産は一括で経費に計上できる
  • 専従者への給与を経費にできる
  • 事務所兼用にしている自宅の家賃や電気代などを経費にできる
  • 期限内の申告が必要
  • 特別控除を受ける場合は複式簿記での記帳が必要

簿記が全然わからなくても大丈夫

青色申告で特別控除を受けたいけど、簿記のことなんて全然わからないけど大丈夫かな?

一年目は白色申告、二年目からは青色申告と申告方法が変わってもうまくできるかな?

私自身、簿記の資格もないし税理士さんにお願いしないといけないのかな…?と不安に思っていましたが、今はとっても優秀な会計ソフトがあったので大丈夫でした。

 

以下が有名な3つのクラウド会計ソフトで、どれも無料で試すことができます。
クラウドなので自分のパソコンにソフトをインストールする必要がなく、アップデート作業をする必要もなく常に最新版を使用することができます。
また、インターネット環境でログインをすればデータにアクセスできるので、パソコンとスマホの両方で入力したりデータを見たりすることができます。
迷ったら、まずは無料でいくつか試してみると良いかもです。

  1. 会計freee
    今私が使っているのはこの会計freeeです。
    貸方とか借方などという専門用語がほぼ出てこず、家計簿をつけるような簡単さなので開業当時に全く会計知識のなかった私にはピッタリでした。
    これは下記のどのクラウド会計ソフトでも同じですが、銀行口座やクレジットカード、Amazonなどのショッピングサイトとも連携できて会計データを取得してくれ、あとはポチポチとクリックしながら仕訳作業をしていけば帳簿がほぼ完成するのでとても簡単です。
    何よりも、質問に答えていくだけで確定申告書類が完成し、ソフトから電子申請までできちゃう簡単さには脱帽です!
    一番安いプランでもメールやチャットでのサポートがあり安心です。
  2. MoneyForward クラウド
    家計簿アプリでおなじみの「MoneyForward」のクラウド会計ソフト。
    金融機関などと同じレベルのセキュリティでデータを管理しているので安心して利用できます。
    直感的なfreeeよりも柔軟に入力できるので、複式簿記に比較的慣れている方には使いやすいようです。
    こちらも最安のプランでもメールやチャットでのサポートがあり安心ですね。
  3. やよいの白色申告オンライン・やよいの青色申告オンライン
    言わずと知れた弥生!
    こちらは初年度無料(青色申告の場合)というのが嬉しいですね。
    画面がわかりやすく、確定申告を簡単な作業で終わらせることができるので、とにかくまずは確定申告を!という方にオススメです。
    歴史のある会計ソフトメーカーさんが提供されているので、サポートやセキュリティも万全です。

簡単に開業届を作成する方法

ちなみに、開業届は印鑑と身分証明書を持って税務署へ行き、そこで教えてもらいながら届出書を記入することも可能ですが、ちゃんと準備をしていけば提出だけで済むのでとても楽ですよ。

freeeの「開業freee」などを使えば簡単に開業届の作成を行うことができます。



前もって準備をしておけば安心して税務署に行けますね。

売り上げがほとんどないのに開業届を出すのは恥ずかしい?

開業届ってなんだか敷居が高いイメージ…。売り上げがとっても少ないのに開業届なんて出しても恥ずかしくないのかな?

…なんて思いませんでしたか?
私はめっちゃ思いました💦

 

でも、ハンドメイド作家さん、ライターさん、デザイナーさん、ブロガーさんなどなど、事業を行う人は開業届を提出する義務があるんです(提出しなくても罰則はありません)。
売り上げが少ないからと恥ずかしがる必要はありません👍

開業届を出すことで、上記のように青色申告をすることができるようになります。また、屋号の入った銀行口座を作ることができるようにもなります。

また、自治体によっては開業後○年経過したら奨励金がもらえる…という地域もあります(私の地域ではありました!)。

ただし、下記のようなデメリットもあるので当てはまる方はよくご検討ください。

  • 失業保険が受けられなくなる
  • 保険組合の種類によっては扶養に入れなくなる
    開業届提出前に加入している健康保険組合に問い合わせることをオススメします。
    ちなみに「全国健康保険協会(協会けんぽ)」の場合は扶養に入ったまま開業することは可能です。その後扶養を外れないよう所得の要件を守る必要があります。

まとめ

確定申告とは、売り上げから必要経費を差し引いた所得を申告して税金を納めるための手続きのことを言います。
確定申告には白色申告青色申告がありますが、メリットの大きい青色申告ができるよう、早めに開業届と青色申告の申請書を提出しましょう。

帳簿をつけたり確定申告書類を作成するのは、現在では優秀な会計ソフトがあるので昔よりはるかに簡単です。
クラウド会計ソフトはインストールの必要がなく、最新版をどこでも利用できるのでオススメですよ。

税金の面でも安心して活動を続けたいですね。

※ この記事を受けての個別のご相談には対応できかねます🙏

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